日本代表がロシア代表に30-10で快勝した、ラグビーW杯の開幕戦の日本テレビの視聴率が、18・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。瞬間最高視聴率は25・5%だった。

今から30年近く前、90年代前半までは、芸能記者は冬が近づくと大学ラグビーの早慶戦のチケットを担当記者に頼んで確保するのが仕事だった。バブルの時代はラグビーが大人気で、いろいろな人から頼まれた。93年のサッカーJリーグ開幕より前の話だ。

4年前のW杯で、優勝2回を誇る南アフリカを破って、大きな話題を呼んだラグビー日本代表。今回はアジアで初のラグビーW杯開催とあって期待半分、怖さ半分で見ていたが、日本代表の快勝に数字もはね上がった。

9年前にスポーツ部で1年だけラグビーを担当した。今回3トライを挙げたWTB松島幸太朗(26)は、高校ラグビーの花園、全国大会で東福岡と両校優勝した時の神奈川代表の桐蔭学園のエースだった。

日本代表のリーチ・マイケル主将(30)は当時、東海大ラグビー部のマイケル・リーチ主将だった。SOの田村優(30)は明大4年。恩師の吉岡肇・国学院栃木監督には、23年前日刊スポーツに北関東版があった時代に赴任先の栃木でお世話になった。縁ある選手の活躍、そして高視聴率はめでたいばかりだ。

一方で、フジテレビが放送中のバレーボールW杯。日本のバレーボールが「メダルは当たり前、金メダルが目標」という時代に育った記者には日本代表の成績も、視聴率も寂しすぎる。ラグビーと同じ時期に日本で開催と言うことも、その差を際立たせる。

野球が地上波テレビのゴールデンタイムの主役でなくなってから10年近くなる。21日の巨人の5年ぶりの優勝も地上波での生放送はなかった。メディアの状況が、どんどん変化していく時代。スポーツの人気も、次々と入れ替わっていく。

速報では他の追従を許さなかったテレビも、ネット環境の進歩で独占的な地位を失った。映像はテレビだけでなく、スマホでもリアルタイムで見られる時代になった。

メディアはどうなるのか、テレビの将来は? そんなことを考えながら、ラグビー日本代表の次戦、28日のアイルランド戦を応援したいと思う。【小谷野俊哉】